英語の冠詞問題:トム・クルーズは冠詞一つで話をはぐらかす男

「映画を字幕なしで楽しめる ようになるには、どうやって英語の勉強をしたらよいですか?」

よくされる質問です。英語を勉強している人にとって、洋画を字幕なしで楽しめるようになるのは、憧れですよね。それを目標に英語を勉強している人も大勢います。

 

中には「そんなこと留学でもしなければ絶対に無理だ」と思っている人もいるようです。

 

「字幕なして楽しめる」というのがどういう状態なのかにもよりますが、絶対に無理なんてことはありません。

 

 

今日は、アクション・コメディ(?)映画ナイトand デイ(Knight andDay)を肴にして、一つ例をご紹介したいと思います。

 

主演はトム・クルーズとキャメロン・ディアスですごくテンポがはやく、爽快なストーリーですよ。

 

ここで、また話を元に戻しますが、「映画を字幕なしで理解する」と、一口にいっても、人によって状態は違います。

私の経験では、およそ5段階くらいの状態があるのではないかと思います。

 

1.音だけ聞き取れる(でも、意味はわからないか部分的にしかわからない)

 

2.言葉を意味のかたまりで聞き取ることができる

 

例えば、Sweatit out!という台詞だったら、Sweat()と、itoutがバラバラに耳に入ってくるのではなく、"Sweat itout"という慣用句(チャンク)として認識できる、という状態のことです。

 

3.言葉を意味のかたまりで聞き取れ、意味を理解できる

 

"Sweatitout"が、「最後まで頑張れ」という意味として耳と頭に入ってくるという状態のことです。

4.ストーリーの背景もあわせて、台詞の意味がわかる

 

それまでの話の流れから、どういうトーンで使われている台詞なのか、ということがわかる状態のことです。

 

5.意味がわかって、ギャグや皮肉など、言外の意味も含めて ニュアンスもわかって楽しめる

 

45あたりまでできるようになるには、かなりの努力が必要です。

海外に何年も住んでいたり、留学経験があっても、意識してちゃんと勉強しないと自然にできるようにはなりません。

 

日本にいても、英語があまり得意でなくても、発音矯正をやって、母音や子音を自分で出せるようになると、1までできて、部分的にではありますが、2までいけます。

 

チャンク(意味の塊、英語の決まり文句)をたくさん聞いたり発音する経験を積むと、3あたりまでいけます。(TOEICのスコアをいくら上げても、それとこれは別物なので、1と2は多少できるようになりますが、3にはあまり影響がありません、残念ながら。)

 

そして、このあたりまでくるととても楽しい世界に入ります。

このあたりが、日本に住んでいる英語学習者の現実的な目標線(これでもかなり高度です)だと思いますが、4まで行くにはやっぱりたくさんチャンクを仕入れておく必要があります。

 

このように、「映画を字幕なしで楽しめる状態」には、色々な段階や状態があるのです。

 

前ふりが長くなりましたが、ここでナイト andデイの例をご紹介します。

 

まずは以下の動画予告編をご覧下さい。

 

https://youtu.be/2q7eKxSZPE4

 

24秒後あたりで、トムクルーズが店に入って来て、

 

「僕達、離れられない仲だろ?」

と言います。

 

消防士の制服を着た男が、「あんた誰?」

と言うと、

 

キャメロンが「こいつよ!」Thisis the guy.

と言います。

 

すると、トムは、「そう」I'm a guy.「僕だよ」I'm theguy.

と、笑顔で答えています。

 

字幕だけ読んでいると、話の展開が読めないのですが、ここで冠詞にご注目です。キャメロンは"theguy"と言っています。

 

つまり、消防士の男(元カレ)に、飛行機の中で偶然出会ったイカレた男(トムのこと)について話していたところに本人が現れたので、「今話していたあの男 "the guy"」=「こいつ」と言っているのです。

 

そして雰囲気を察したトムは、"the""a"にさりげなく変えて、

 

「僕は男 "a guy"」だよ=「そう」と、対象を一般化してごまかそうとします。

 

「こいつよ」「そう」という字幕を読んでいるだけで、音や意味をキャッチできていないと、こういう楽しみ方はできません。

 

でも、たったこれだけで、すごく細かい話ですが、表現の妙というか、ワザを楽しめるのです。

 

ちょっと細かい話でしたが、おわかりいただけましたか?

 

4.ストーリーの背景もあわせて、台詞の意味がわかる」こうなると、「聞こえた英語が、どのように日本語訳されているのか」ということが気になって(と、いうかわかるようになって)きます。

 

字幕が全く無い状態で映画を理解したり楽しむのは難しくても、このあたりまでできるようになると、かなり楽しいです 

 

まずは、ここを目指して「英語の音」 や「決まり文句」を勉強してみるといいのではないでしょうか。長くなりすぎたので、映画の英語をわかるようになるために役立つ具体的な内容や方法については、別の機会に書きますね。

 

メントール発音教室では、発音とイントネーションの基礎が終わると、ご希望によって映画のセリフで英語発音レッスンをしている生徒さんもいます。

 

 

このブログは、2012/07/23にアメブロに投稿した英語発音ブログの過去記事再投稿です。